2006(平成19)年8月に誕生した本格焼酎「岡垣」。
ここでは誕生に隠された秘話をご紹介します。
コンセプト
本格焼酎「岡垣」は、次の3つのコンセプトのもとに造られました。
1.遊休農地の利活用
岡垣町は古くから米のほかビワやイチゴなどの栽培が盛んで、農業が町の主な産業となっていました。しかし、町の農業を取り巻く環境は減反や農産物の輸入自由化の影響や農業従事者の高齢化、後継者不足などで悪化。この影響で増えつつあった遊休農地に芋焼酎に欠かせないサツマイモを栽培し、農地を保全します。
2.良質な地下水のPR
岡垣町の水道水の約85%が、町内の地下水でまかなわれています。この地下水は、厚生労働省が定める「おいしい水」の数値をほぼ満たす良質なものです。これを町の良さの1つとしてとらえ、町内外に広く伝えます。
3.町を挙げての特産品づくり
地域に愛される特産品にするためには、地域全体が特産品開発に関わりを持つことが重要ととらえていることから、原料となるイモの栽培・収穫に町全体で取り組みます。
名称
名称募集に183点の応募があり、審査の結果「岡垣」に決定しました。この名前には「岡垣という名前を町外に広くアピールできる」「町の特産品として理解しやすい」などの理由で選ばれました。
杜氏 黒瀬安光杜氏との出会い
特産品として焼酎の開発を考えていた岡垣町は、2006(平成18)年に鹿児島県阿久根市にある鹿児島酒造の総杜氏である黒瀬氏のもとを訪れます。これを受け、黒瀬氏も岡垣町を訪問。黒瀬氏は岡垣町の山々を見て「おいしい水があるはずだ」と直感したと言います。
また「人が熱い。町が(焼酎造りに)こんなに熱心なところはほかにない」―。割水に使う水の素晴らしさと町の人たちの熱心さ-。これらが黒瀬氏の心に響き、焼酎造りに携わってくれることになったのです。
焼酎造りのなかで黒瀬氏は岡垣町の地下水を「長年の焼酎造りの中でも出会ったことがない名水。(割水で焼酎の)香りが変わる」と話してくれました。